十三騎兵防衛圏
ヴァニラウェアの新作って事で注目はしてたものの、まぁすぐに買う程では無いかと思ってたら、各所で絶賛の嵐で。一時期、売り切れが続出して生産が追い付かなかったとか。「オーディンスフィア」や「ドラゴンズクラウン」で評価を高めてきた会社がつい
に爆発したって言うのは、嬉しい限り。
で、いつもならここから「感想(ネタバレあり)」が始まるんですが、流石にこのゲームだけはネタバレ無しでプレイして頂きたいので、先に総評と評価を持ってきています。
総評
幾重にも張り巡らされた謎や伏線を、自身の手で紐解いていく事で、読まされていると言う感覚が無く、それぞれのキャラクターに深く感情移入ができるアドベンチャーパート。
戦略性と気持ち良さが両立されており、戦う事それ自体が楽しいシミュレーションパート。
それぞれがきちんと高いゲーム性を保っており、ともすればそれぞれのパートが一本のゲームとして発売できるレベルなんだから、そりゃ名作になりますわと。
プレイ時間は約60時間でしたが、一切中だるみする事なく、最後まで楽しめました。
ほんと、前回のイーラからこの十三騎兵と立て続けに名作をやってしまったから、次に何をやったら良いのか悩んでます…。
焼きそばパンの君、俺に教えてくれよー!
評価
★★★★★
文句のつけようが無い、完璧な作品。
「神谷盛治」氏をトップクリエイターに押し上げた作品と言われるだろう。
感想(ネタバレあり)
正直始める前は、13人もおったらあまり興味を持てないキャラも出てくるやろうなと思ってたけど、そんな自分を戒めてやりたい。
13人それぞれが独立して動いている訳ではなく、個々の話の中に他の人物も積極的に絡んでくる事もあってか、全員に感情移入してしまうと言う結果に。
特に緒方は評価が一番逆転したかなー。
ぱっと見、リーゼントの不良に興味なんぞもてないってw
ただこの緒方、惚れた女を守るために命を懸けると言う、まぁ漫画で良くあるタイプのキャラなんだけれども、必死さが伝わってきて憎めなくなるんだな、これが。
戦闘でも頼りになるしw
で、その惚れた女ってのが、これまた興味の無かった兎美。
口は悪いわ胸は無いわメガネかけてるわで、自分にとって興味を惹く要素が一つも無いって言うw
ただ、兎美は物語の根幹となる人物で、彼女を動かす事で話がどんどんと進んで行くため、常に目が離せなくなる。
そして兎美も戦闘で頼りになる一人だったりして、うまくできてるよ、ほんと。
ま、大人になったら出るとこも出て立派に成長するみたいなので、良かった良かった。
基本的にこのゲームの根底に流れているのは「愛」であり、ボーイミーツガールであったり、大人の恋愛や禁断の恋、親子愛なども描かれている。
そんな幾つもある愛の形で一番胸に響いたのは、やはり十郎と恵。
十郎のシナリオでは恵と絡む事が多いのだが、そっけなく扱われる恵を見ていると本当に切なくなってくる。もちろん十郎にも理由があってそうしているとはわかっているのだが、せっかく恵が作った料理を「作ってくれなんて言ってない」とか「学校で話しかけるな」と言うてるのを見てると、切なくなるってもんですよ。
しかし最後の最後でやっと結ばれる際には、それまでの辛い状況を見ているだけあって、思わず良かったなぁとホロリ。
尚、この後出撃する十郎は、正に主人公って感じで滅茶苦茶恰好良いですw
13人それぞれが魅力的であるが、中でも一番魅力的…と言うか面白かったのがこの方、比治山隆俊さん。
国家を護るために戦うと言う錦の御旗を掲げており、熱血漢、それでいて女性には奥手と言う戦時中の軍人さんとを体現されているような方ですが、とある事件で1985年に飛ばされた際に、焼きそばパンを口にします。
するとどうでしょう、頭の中が焼きそばパンだらけになってしまったではないかw
そして比治山さんは「無類の焼きそばパン好き」と言う属性に加えて、もう一つ「ゲイ疑惑」と言う属性を追加されてしまいます。
それにしても設定上は1944年に生まれた事になってるんだから、男に興味持ってて良いのかよと。時代的に厳しいんじゃないのと思いつつも、女装趣味の沖野から目が離せない比治山さんは最高っす。
とは言え、2188年では付き合ってた所を見ると、その時代ではもうゲイなんて隠すような事でも無いんですね。ってか、疑惑じゃなくてそのものでしたw
個々のキャラクターについて語りだすと、何文字あっても足りないレベルなので、この辺りで止めておくけれど、とにかくこの魅力的なキャラクター達が複雑に絡み合って、重厚なストーリーを紡ぎ出します。
いや本当に13人分のシナリオが矛盾なく描かれるってとんでも無い事ですよ。
そら完成まで6年もかかるわ。